中日与田監督が求める“抑えの条件” 「永遠の恩師」星野氏と過ごした思い出に見える闘志
「岡田にはまだまだ満足していません」
中日が与田剛監督就任1年目の昨季、5位に沈んだ要因の1つは、シーズンを通して抑えを固定できなかったこと。与田監督は現役時代、ルーキーイヤーに最優秀救援のタイトルを獲得した“伝説のクローザー”なのだから、黙っていられるはずがないだろう。
6日にメットライフドームで行われた西武との練習試合では、2点リードの9回に11年目左腕の岡田俊哉投手が登板し、3人でピシャリと抑えた。「立ち上がりにカウントを悪くしてしまいましたが、アウトを取ってから落ち着きました。いい場面で投げさせてもらっているので、力むのはしかたがないのですが、力みすぎてしまうことがないようにしていきたいです」と反省を交えてコメントした。
昨季53試合に登板し3勝2敗7ホールド13セーブ、防御率3.58をマークした岡田が、今季の抑え筆頭候補だが、与田監督は「岡田にはもっともっと高いレベルのものを求めているので、まだまだ満足はしていません」と語り、クローザーの人選について「そんなことは開幕するまでわからないでしょう」と合格点を与えなかった。
昨季は岡田の他、鈴木博が14セーブ、マルティネスが8セーブ、祖父江と退団したロドリゲスが1セーブずつ挙げている。
与田監督はNTT東京からドラフト1位で中日入りし、1年目の1990年に31セーブを挙げて新人王と最優秀救援を両獲りした。新人を抑えに抜擢したのは、当時の星野仙一監督(一昨年1月死去)だった。星野氏を「永遠の恩師」と慕う与田監督から、以前こんな話を聞いたことがある。
「俺は遠征先の試合で打たれて負けた時には、必ず宿舎の食事会場で監督の正面に座るようにしていたよ。星野さんには『フン、負け投手の顔なんか見ながら食いたくないわ!』なんて言われたけど、構わなかったね」
シーズンを通して1度も負けない抑えは、まずいない。打たれた時に、いかに闘志を奮い起こして次へ向かえるか。与田監督が求めるものは、その辺りにあるのかもしれない。指揮官が抑えに指名するのは、果たして誰か。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)