ホークス和田の“遅くて速い真っ直ぐ”、敵将も褒める速球で終盤戦を牽引
2か月半ぶり復帰登板で9奪三振「差し込めたし、空振りも取れた」
和田は和田だった。左肘の遊離軟骨除去手術を受け、そこから約2か月半で復帰登板を果たしたソフトバンクの和田毅投手。27日のロッテ戦(ヤフオクD)。4月7日の西武戦(メットライフD)以来となった1軍のマウンドで、6回2安打無失点。9個の三振を奪う快投で、復帰戦で完璧と言える投球だった。
本人もいくばくかの不安を抱えながら、上がった久々のマウンド。そんな不安を吹き飛ばすほどの投球だった。初回に2つの三振を奪うと、4回には圧巻の3者連続空振り三振。6回にも2者連続三振があり、計9個の三振を奪った。
ストレートは140キロ前後。それでも打てないのが、左腕の真っ直ぐだ。「全般的に良かったと思います。差し込めたし、空振りも取れた。真っ直ぐが良かったので、変化球、チェンジアップも振ってくれました」と振り返る。ロッテの伊東勤監督は「全員がストレートに振り遅れている。打ちきれない。普段通りの、いい時の(和田の)感じがしました」とした。
表示されるスピードだけが速さではない。これを和田のストレートは良く表している。球持ちのいいフォームから、打者に近いところでリリースされる真っ直ぐは球速表示以上に速く感じる。この日が、かつて8年を過ごした福岡でのラストゲームとなったダイエー時代のチームメート井口は言う。
「前の試合とかを映像で見たんですけど、それ以上に球が来ていたし、怪我する前より良くなっている。同じチームでプレーした仲間としては非常に頼もしいなと思いました」
「彼の持ち味。キレがあって、スピードガン以上に見える。本当に、みんな昨日の千賀よりも速いってベンチで言っているくらい速かったので」
まさに和田毅の真骨頂。遅くて、速い真っ直ぐ。戦列に戻ってきた和田のこのボールが、首位をひた走るソフトバンクを優勝へと導く大きな武器となる。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)