「応援されてると思ってた」 東邦主将がSNSで知った世間の声、甲子園中止の是非
「高校野球だけ特別じゃない」世間の声に甲子園常連校主将は何を思ったか
第102回全国高校野球選手権大会の中止が決まり、約1か月。代替大会、引退試合、上の舞台、将来の夢……。球児たちも気持ちを切り替え、新たな目標に向かってそれぞれのスタートを切っている。新型コロナウイルスは彼らから何を奪い、何を与えたのか。Full-Countでは連載企画「#このままじゃ終われない」で球児一人ひとりの今を伝えていく。
昨春選抜で現中日・石川昂弥を擁し全国制覇。昨秋神宮王者の中京大中京とともに私学4強の一角として愛知の野球を牽引する東邦は、全国的な知名度を誇る強豪校では珍しく、部員の携帯所持やSNSの利用を全面的に容認している。森田前監督に代わりこの春就任した山田新監督は「本当は可能なら禁止にしたいんですけどね(笑い)。今の時代、頭ごなしに否定してもどうせ隠れてやるだろうから、それなら危険性や優先順位を教えたうえで、考えさせることも大事かなと」と語るが、この春は選手たちにとって、自ら情報を取捨選択し大いに考えるまたとない機会となった。
林泰成主将は自粛期間中、スマートフォンを通じ世間から高校野球がどのように見られているかを身をもって実感したという。
「それまでは、高校野球ってみんなから応援されてるものだと思ってた。中止発表翌日にツイッターで『#高校野球』をつけて検索したら、何万人もの方がそれぞれの考えをつぶやいていて。エールもありましたが、圧倒的に多かったのは甲子園開催への批判の声。開催の是非についての記事も片っ端から読み漁りました」
この春、日本中を渦巻いた「高校野球だけ特別じゃない」の声。当事者の球児、それも甲子園常連校の主将は、世間の生の声にどう耳を傾けたのか。
「『甲子園だけでも開催すべきだ』と言ってくださる人は、毎回球場に来て熱心に応援してくれるような方たち。一方『特別じゃない』という人たちは、今はそれどころじゃないと冷静に客観的に状況を判断してるのかなと感じました。自分なりに考えて、僕自身、バス移動や宿泊を伴う甲子園はやるべきじゃないとも思った。もちろん、それでもやりたいという気持ちもありました」