「鬼のメンタル」を再びー大谷翔平が今季打者専念で期待される“鋼の精神力”
マドン監督は右前腕筋の損傷で打者に専念させる方針「打撃をする上で障害は何もない」
再び鬼のメンタルをー。エンゼルスのジョー・マドン監督は4日(日本時間5日)、敵地・マリナーズ戦前にオンライン会見に応じ、大谷翔平投手が今季中に投手として登板することはないと明言。今季の残り試合は指名打者として起用する方針を示した。大谷の会見は5日(同6日)にも行われる見込みだ。
2年ぶりの投手・大谷は、わずか2登板で幕を下ろすことになった。マドン監督は「右屈曲回内筋群の損傷」で投球再開まで4~6週間と診断された右腕について、「数週間、投球自体をしない。正確に何週間かわからないが、少なくとも2週間ほどだ。彼が今季(試合で)投げるとは私は全く思っていない」と明言。全米が注目した投手復活は0勝1敗、防御率37.80という、まさかの成績に終わった。
ただ、これで終わらないのが二刀流だ。この日の敵地・マリナーズ戦は患部に痛みが残っているとして欠場したが、マドン監督は「(負傷は打撃に)影響は出ないはずだ。私がこれまでに聞いたところでは、打撃をする上で障害は何もないはずだ。今日は少し痛みがあるだけ。1日ごとに様子を見ていくことになる」と状態を見ながら指名打者として起用する方針を示した。
負傷後の大谷は強い。18年9月5日の敵地・レンジャーズ戦では医師から右肘手術を薦められながらも、動じることなく1試合2本塁打。9月は打率.310、7本塁打、18打点と打ちまくって新人王受賞へつなげた。練習相手など四六時中付き添う水原一平通訳を「(手術勧告は)すんなり受け入れていた。それにしても2発って。『持っている』というか、鬼のメンタルですよね」と、うならせていた。左膝に痛みを抱えていた昨季も日本人初のサイクル安打を達成するなど主軸打者として活躍。3度のMVPトラウトが「頭の中でクレイジーなくらい多くのことを抱えていただろう。素晴らしいよ。脱帽する。精神的に強い」と驚くメンタルの強さを持っている。
2日(同3日)の降板後、ベンチに座った大谷は険しい表情で下を向いていた。今季中の投手復帰が絶望となり、失望感が強いのは大谷本人だろう。マドン監督からは「彼は最高級の投手。打撃の能力も見てきた。彼なら二刀流ができると思う」と来季の二刀流復活を期待された。シーズンはまだ49試合が残っている。今は打者・大谷の猛打を期待したい。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)