川崎宗則&西岡剛の二遊間を復活させた意味 プロ注目の若手「負けたくない」
BC栃木の遊撃・内山&二塁・斎藤尊に刺激、寺内監督「マネして吸収して」
ルートインBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスの川崎宗則、西岡剛両内野手が、22日の敵地・茨城アストロプラネッツ戦で独立リーグで初めて二遊間コンビを組んだ。2006年WBCで世界一に貢献し、2008年の北京五輪やオールスターでもともに戦った「名コンビ」の復活だった。そんな2人の背中を、プロを志す若き二遊間コンビはしっかり目に焼き付けた。
「僕がちっちゃい時に活躍されたお2人と、同じユニホームを着て、同じグラウンドで野球がやれる。嬉しかった。素直にかっこいいと思いました」
普段守る遊撃から、この日は三塁にまわった内山翔太内野手は、興奮気味に振り返った。試合では初回に先頭打者で今季10本目のアーチ。NPB球団から定期的に視察される24歳は、夢見心地の空間で躍動した。一日、一日が勉強の日々。昨季から一緒にプレーする西岡からは、準備の大切さを学んだ。誰よりも早く球場に来て、全体練習が始まる前からランニングで汗を流す西岡の姿に触発され、共に走るようになった。
一方、二塁が定位置の斎藤尊志内野手は、内山とは対照的に語気を強めて言う。
「プロを目指す立場として、素直に言ってしまえば(川崎と西岡に)負けたくない気持ちです。学ぶところはいっぱいあると思うんです。毎日が勉強なんですけど、(学ぶばかりの)場所ではないと思っているので、そういう気持ちを忘れたくない」
この日は5回から西岡に代わって二塁に入った。身長158センチの21歳は、長野・上田西高時代に選抜を経験。亜細亜大に進学したものの中退した。独立リーグで這い上がることを選んだ野球人生。たとえ憧れの選手だって、押しのけて出番を勝ち取るだけの気概は失いたくない。
「どう感じたのかは本人次第だと思うが、やはり何かを感じてくれれば」。元巨人の寺内崇幸監督は、起用の意図を語る。一挙手一投足が、お手本になるのは確か。この日、先発の斎藤誠哉投手がピンチになると、川崎はタイミングを見計ってマウンドへ行き、声をかけた。「ああいう姿をどう感じるかは、すごく大事なこと。ひとつでも多く、マネして吸収してもらいたい」。チームの若手すべてに投げかける。
リーグトップの26盗塁を記録している内山は、ドラフト前の10月13日に25歳を迎える。斎藤尊は、NPBの舞台で戦うには小兵だとの声もある。それでも、寺内監督は「年齢とか身長とかは、実際に僕は関係ないと思う。(ドラフト指名の)可能性は十分あると思う」と期待する。レジェンド二遊間の姿を糧に、そして刺激に変え、一歩でも夢に近づけたら――。そんな生き生きとした彼らを見て、川崎は言った。
「いい選手が多いから楽しみ。背中で見せてね。背中を見る!」
(細野能功 / Yoshinori Hosono)