「大きな声で◯◯◯」―台中で日本流の応援? 高い台湾の“NPB熱”
“英雄”の陽岱鋼が人気も…大谷翔平のMLB移籍も大きな話題
台中洲際棒球場でのアジアウインターリーグ、ナイターでのNPBイースタン対米国&欧州混成チーム戦の観客は100人程度と寂しかったが、イースタンリーグの攻撃になると、三塁側から太鼓を打ち鳴らし、大きな応援が聞こえた。
DeNAの選手が登場すると「大きな声で◯◯◯」、巨人の選手が出ると「引っ張れー引っ張れー」。各チームの応援スタイルをそのまま踏襲し、メドレーのようにつなげる。選手名も正確に呼び、日本の応援団そのものだった。
昨年も、台中ではこの応援スタイルが見られた。日本から応援団がやってきているのかと、取材をすると、なんと、全員、現地の人々だった。
日本のプロ野球に興味があって、その応援スタイルをテレビなどで見て練習しているという。巨人ファン、ヤクルトファン、楽天ファンなど応援チームも様々だが、NPBが遠征してくると、ネットで情報交換をして集結し、一緒になって応援しているというのだ。
楽天のユニフォームを着た女性は、三塁側のベンチ近くに寄って、選手の横顔を撮影していた。このあたりも、日本のファンとそっくりだ。日本語はそれほどうまくないが、選手の名前や、応援のコールは正確そのものだった。
チャイニーズ・タイペイの野球雑誌では、CPBLやアマチュア野球の記事がトップに来るが、その次には必ずNPBの話題が紹介される。巨人に移籍した国の英雄、陽岱鋼の話題がトップニュースだが、それだけではなく、最近では大谷翔平のMLB移籍などが大きな話題になっている。続いてMLBという順番だ。
球場でも「1」の陽岱鋼のユニフォームや「11」の大谷翔平のユニフォームを着たファンをよく見かける。まだ巨人のユニフォームは少なく、日本ハムのユニフォームが多いのは「時差」を感じる。彼らは、日本の野球ファンがMLBを見るような感覚で、NPBをウォッチしているのだ。
また台北市など大都市のスポーツ用品店でも、イチローや大谷翔平、柳田悠岐などの大きなポスターを普通に見かける。現地ではパ・リーグTVが、映像配信をしている。それ以外に、スポーツニュースでも日本のプロ野球はよく取り上げられる。日本のプロ野球は、チャイニーズ・タイペイでも多くの野球ファンが注目しているのだ。
今年はCSで楽天の宋家豪が活躍したが、現地の人はこうした話題もよく知っている。応援をしていた一人は「今年の西武は源田(壮亮)さんが出てきたので、呉念庭の試合出場が減って残念だった」と語った。
チャイニーズ・タイペイの野球ファンは、年配者はあまりいない。若い世代が中心だが、日本の野球を通じた国際交流もなかなか楽しいものだ。
(広尾晃 / Koh Hiroo)