「田澤ルール」の独禁法違反疑いでNPBが声明「日本の野球界の発展に尽くす」
公正取引委員会が「田澤ルール」の独禁法違反の疑いと発表
公正取引委員会は5日、日本のプロ野球のドラフト指名を拒否して海外でプレーした選手が、帰国後の一定期間は契約できないとした日本野球機構(NPB)の申し合わせが、独占禁止法違反の疑いがあると発表した。
2008年に新日本石油ENEOS(現ENEOS)の田澤純一投手がMLB挑戦を表明。この際に12球団で交わされた申し合わせで、通称「田澤ルール」と呼ばれた。この申し合わせは9月に撤廃されており、公正取引委員会はNPBへの処分は行わずに調査を終了した。
この公正取引委員会の発表を受けて、NPBの井原敦事務局長は声明を発表。その声明は以下の通り。
「2008年10月6日の実行委員会申し合わせの大きな特色は、規約などの明文化を一切行わず、適用した実例が1件もないことです。08年当時は、米国MLBのスカウトが国内の高校・大学の野球部や社会人チームの活動期間中でも個別に接触していたため、実行委員会で緊急避難的に申し合わせを行いました。
しかし、その後、12球団が若手選手の育成環境の整備や待遇の向上を図ったことによって、国内のアマチュア選手が米国に渡ってマイナーリーグ等でプレーするより、日本の球団に入団した方が将来の可能性が広がるとの認識が定着し、実際に有望な選手が米国に直接渡るようなこともなくなったため、申し合わせの必要性は失われました。12年から13年にかけては、実行委員会で『申し合わせの改廃』を求める意見も出ていました。
このような事情から、当組織としては、申し合わせの対象となっていた田澤純一選手が本年3月に米国の球団を退団したことを機に、申し合わせの改廃について具体的な見直しを始め、田澤選手が7月にBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズに入団したことを受け、9月7日の実行委員会で撤廃を決議しました。田澤選手に対しても、埼玉武蔵ヒートベアーズを通じ、10月26日のドラフト会議で指名対象の候補となることをお伝えしていました。
公正取引委員会には、当組織が申し合わせを決めるに至った経緯に加え、自主的に撤廃したことや、この12年間、申し合わせによって不利な扱いを受けた選手がいないことも説明し、その結果、本日、審査終了との判断が示されたと受け止めています。
当組織としては今後も、選手の獲得や育成に関する、より良い制度の研究・検討を続けながら、プロ、アマを問わず日本の野球界の発展に尽くしてまいる所存です」
(Full-Count編集部)