“二刀流”の23歳がハム王柏融超え新人王 最速開幕の台湾プロ野球はどうだった?
前期は中信兄弟、後期は統一が優勝…直接対決の台湾シリーズは激戦に
台湾中部・台中市の台中インターコンチネンタル球場で8日に行われた台湾シリーズ第7戦。9回2死二塁、統一セブンイレブン・ライオンズの左翼・蘇智傑が中信兄弟・許基宏の飛球をつかむと、左翼スタンドに陣取った統一ファンが、オレンジ色の紙テープを一斉にグラウンドへ投げ込んだ。選手たちはマウンド前で喜びを爆発させ、シーズン中は厳しい表情も多かった林岳平監督が、満面の笑みを浮かべ宙に舞った。
前期優勝の中信兄弟、後期優勝の統一の直接対決となった今年の台湾シリーズ。統一は初戦、1-1で迎えた延長10回表に潘武雄が、かつてNPBでもプレーした鄭凱文から勝ち越し3ランを放ち4-2で勝利。その後は中信兄弟が誇る強力先発投手陣、16勝のデポーラ、10勝のミランダ(昨季までソフトバンク)、後期安定感抜群だったロジャース、そして9勝の黄恩賜の前には打線が封じられ、第4戦終了時点で1勝3敗と王手をかけられた。
しかし、後期シーズンでも土壇場で粘りをみせた統一は第5戦から巻き返し。打っては、伏兵やベテランが奮起し、5回途中でロジャースをKO。投げては、先発のダイクソンが完封勝利の熱投で流れをつかむと、第6戦も終盤に中信の中継ぎ投手陣から、ダメ押しとなる大量得点を奪って大勝。“逆王手”をかけた。
迎えた第7戦、統一は3回まで毎回得点で3-0とするも、3回、拙守が絡んで一挙4失点、逆転を許した。再び流れが変わったかにも思えたが、その後、統一先発のスタンキビッチは粘りの投球で追加点を許さなかった。一方、統一打線は7回、疲れの見えた中信先発ミランダを攻め、バッテリーミスで同点に追いつくと、適時打で5-4と逆転しミランダをKO。さらに陳傑憲が2番手で登板した黄恩賜から2ランを放ち、7-4とリードを広げた。
統一は8回から3番手として、第5戦完封のダイクソンを投入する必勝リレーで逃げ切り。土俵際からの3連勝で、2013年以来7年ぶり10度目となる台湾王者に輝いた。シリーズMVPには、初戦の勝ち越し3ラン含め8安打、7打点、打率.471と大活躍した“統一の黄金時代を知る男”39歳の大ベテラン潘武雄が選ばれた。
中信兄弟は、レギュラーシーズン年間順位1位、投打の各データも統一を上回り、先発投手陣も統一の主力打者を概ね抑えていたことから、下馬評では有利と見られていた。昨季まで6年間で5度シリーズ進出もいずれも敗退。今年こそ、という強い思いで臨んだものの、あと一勝が遠く2010年以来10年ぶりのシリーズ制覇はならなかった。