ヤンキースの“エース”黒田博樹 安定感を発揮できるワケ
大事な局面になるほど安定感を発揮する
ヤンキースのエースは黒田博樹だ。この意見に異論のある人間は、日本だけでなくニューヨークにもいないだろう。今季はけが人が続出し、苦しい戦いを強いられてきたヤンキースの中で、この男の存在感はそれだけ際立っていた。現在、ヤンキースがプレーオフ進出争いに加われているのは、黒田のおかげだと言っても過言ではない。
シーズン終盤に入り、8月12日のエンゼルス戦を最後に6試合連続で白星から遠ざかっている。勝ち星も11勝11敗の五分になってしまった。だが、打線の援護やマリアーノ・リベラの3度のセーブ失敗がなければ、確実に貯金を作れていたはずだ。
6回7失点と大荒れだった8月23日のレイズ戦でさえも、ジョー・ジラルディ監督は「こんな日もある」と話し、代わらぬ信頼を寄せていることを強調した。本当に大事な局面になれば、持ち前の安定感を発揮してくれると信じているからだ。
昨年限りで引退した松井秀喜と同学年の38歳。しかし、その投球に衰えは見えず、むしろ投げるたびに進化を感じさせる。豊富な経験とあくなき向上心が融合したピッチングからは、凄みすら伝わってくる。