無敗記録が途切れた田中将大にかかる次の期待 新ヤンキースタジアムで初の防御率2点台ピッチャーは誕生するか

田中自身は過度に重圧を感じていない

 昨年、ヤンキースはエースのサバシアが乱調に陥るなど先発投手陣が安定せず、シーズン前半での黒田への負担は大きかった。終盤の絶不調は、心身ともに疲労が噴出した結果だとする見方もある。となると、今年の田中にも不安はつきまとう。

 サバシア、イバン・ノバ、マイケル・ピネダと開幕時の先発ローテーションに入っていた投手のうち3人が負傷で離脱。まだ5月中旬にもかかわらず、田中、黒田の2人しか残っていない。しかも、黒田も4月は本調子でなく、不安定な内容が続いた。ここにきて先輩右腕に復調の兆しが見えていることは心強いが、序盤戦は間違いなく田中にかかる負担が大きくなっていた。シーズンが深まって行くにつれ、これがどう影響するか。

 もっとも、田中自身は過度に重圧を感じることなくマウンドに上がり続けている。サバシアが離脱した直後には、こう明かしている。

「自分で出来ることというのは、変わらないと思います。出来ることをしっかりと試合で出し切れるように、これからも準備をして、コンディションを整えて試合に入っていくということが大事なので。その繰り返しだと思います」

 初めて2度目の対戦となったカブスに敗れたことを考えると、これも厳しい壁となるだろう。田中がマウンドに上がるほど、他球団の研究も進んでいくはずだ。ただ、老練ともいえる投球スタイル、そして強靱な精神力は、相手を上回っていくために十分なプラス要素となるだろう。

 勝利を最大の目的とするヤンキースで、個人の記録は二の次かもしれない。ただ、先発投手が出来る限り失点を防ぎ、安定感のある投球を続けることが、チームの勝利への近道であることも確か。早くも「エース」の称号を手にした田中が17年ぶりの快挙を達成すれば、2009年以来となるワールドシリーズ制覇も近づいてくる。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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