無敗記録が途切れた田中将大にかかる次の期待 新ヤンキースタジアムで初の防御率2点台ピッチャーは誕生するか

幾多の名投手が「2点台の壁」に跳ね返されてきた

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ヤンキースの主な投手の成績(1997年以降)

 ヤンキースの本拠地であるヤンキースタジアムは、メジャー屈指の「ヒッターズパーク」として認識されている。左翼に対して右翼が狭く、本塁打が出やすい。右中間のふくらみもないため、左打者に圧倒的に有利な構造だ。実際に、ヤンキースは敵地に比べ、本拠地では約1・5倍のホームラン数を誇るという。この特徴は、2008年まで使われていた旧ヤンキースタジアムのものを引き継いでいる。

 さらに、ヤンキースタジアムが「ヒッターズパーク」であるという事実を示す、もう1つのデータがある。ヤンキースで規定投球回に達し、防御率2点台を記録した投手は、1997年のデビッド・コーン(2・82)、アンディ・ペティット(2・88)を最後に出ていない。そして今季、17年ぶりの快挙に最も近い位置にいるのが、鳴り物入りで入団してきた田中将大投手(25)だ。

 ルーキー右腕は20日のカブス戦で6回8安打4失点(自責3)と粘りの投球を見せたが、打線の援護にも恵まれずにメジャー初黒星(6勝)。2012年8月26日から続いていたレギュラーシーズンでの連勝記録が「34」で止まり、先発としての無敗記録が42試合で終了した。この事実を日本だけでなく米メディアも大きく取り上げ、現地も田中の話題で持ちきりとなった。ただ、防御率はリーグ4位(21日時点)の2・39と好成績を維持しており、チームトップとなっている。

 果たして、防御率2点台を最後までキープできるのか。ここまでの抜群の安定感を見せられると、期待せずにはいられない。

 この17年間、数々の名投手が「2点台の壁」に跳ね返されてきた。歴代最多の7度のサイ・ヤング賞に輝いたロジャー・クレメンス、在籍8年間(2001~2008年)で123勝を挙げたマイク・ムッシーナ、MLB史上1位の通算奪三振率10・61を誇るランディ・ジョンソン。そして、「コア4」の1人としてヤンキースで通算219勝を挙げたペティットも、1997年を最後に再び2点台に届くことはなかった。

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