高まる台湾の“日本プロ野球熱” 陽岱鋼が与える大きな影響
日本と台湾を結びつける重要なファクターとなっている「野球」
「野球は台湾の文化で、この島では突出した人気を獲得しているスポーツです。誰もがルールや遊び方を理解していて、試合を毎日観戦しています。子供たちもみな、野球選手になることを憧れています。
そして2013年のWBC以降、台湾人はいっそう野球にチャンネルを合わせることが多くなりました。あの大会で人気を得た陽岱鋼は、台湾の野球人気に変化をもたらしたのも事実です。これまでは20代から40代の男性が野球の主な視聴者でしたが、WBC以降、女性の視聴者がかなり増えてきています。
陽岱鋼は打者ということもあり、日本での活躍が台湾で毎日報道されます。日本で、MLBで活躍する田中将大やイチローが報じられるのと同じように。
そして陽岱鋼は、試合でのパフォーマンスだけでなく、彼の特別な個性――スタイリッシュで、トレンディで――が人気を高めているのは間違いありません。台湾のスポーツ分野で彼の人気はとても高いですし、スポンサー企業にとってはベストチョイスになっています。今後、彼へのコマーシャルの依頼はさらに増えると思います」
その後イベント会場では、陽岱鋼がビデオ出演でのクイズ大会が開催され、そこにはたくさんの野球ファンが集い、注目度の高さが改めて見られた。
直線距離で約2000キロ、飛行機で4時間弱の所に位置する、日本と台湾。今回のイベントを取材し、両者を結び付ける要素として野球が大きな影響を与えていることを実感させられた。野球というスポーツがさらに活性化していくためのヒントが、ここに隠されているかもしれない。
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浦山利史●文 text by Toshifumi Urayama