イチローはなぜマーリンズに決めたのか 最後には消えた「ノーという理由」

「マイナス要素を挙げていって、それがクリアできるか」

 ヤンキースで開幕前に5番手外野手として扱われた昨季の苦い経験を振り返るかのように話した後に「それに僕はピッチャーもできますからね」と冗談まじりに付け加え、笑みを浮かべた。

 日本では、レギュラーとしてイチローを獲得してくれる球団と契約してほしいとの声が根強かった。ただ、難しいことはイチロー自身も分かっていた。不本意だが、それがメジャーの“常識”だということを。

 そして、そんな中で真剣なオファーを出してきたマーリンズは、イチローにとっては“最適”のチームだった。「『おぉっ』と思いました。音にしたら『おぉっ』ですね。これは表現できないでしょうね、文字では」。オファーを受けた瞬間のことをユーモアたっぷりに振り返りながら、イチローは「なぜマーリンズに決めたのか」について、こう明かしている。

「一番遠い場所で、情報も最も少ないチームの1つでした。でも、そうやって実際にお話をいただいて、いろいろなことを聞いていくと、こういう時ってマイナス要素をまず挙げていって、それがクリアできるかどうか考える。今回、考えたんですけど、全部クリアしちゃったんですよね、そのマイナス要素を。細かいところを言えば、背番号51であるとか、ウエイトのマシンを置けるスペースがあるかとか、自分の体重をコントロールできる場所であるかとか。細かいところなんですけど、それがすべてクリアになった。そうすると、この話に対してノーという理由がなくなるということですね」

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