【小島啓民の目】変革を恐れず、先を見ろ 野球上達へ「5年後ビジョン」設定のススメ
なぜ内海は巨人の中心選手でいられるのか
今、練習している理由は「目先の進歩もあるのですが、自分が先々こうなるためにやっている」という明確なビジョンを持ち、それに沿って取り組むのが大事ということでしょう。ランニングを10本走るとすれば、10本は今の自分へのノルマ。更に1本を将来のために追加し、11本走るというようなことだろうと思います。
豊田コーチとの話の中で、1人の投手の名前が出てきました。巨人のエース左腕・内海哲也投手です。豊田コーチは言います。「内海は毎年新しい自分にチャレンジしている」と。特筆した球のスピードがあるわけでもなく、コントロールが抜群ということもない中、ジャイアンツの中心選手でいられるというのは、そういう部分に理由があると感じました。
「昨年のスライダーと今年のスライダーは一見、似ているような変化だけど、ボールを放すリリースのタイミングを少し遅くしたり、と工夫を凝らしている」と、絶えず考えている内海投手の姿に、豊田コーチも感心していました。
要は最多勝を獲得した左腕でも、現状維持をキープしているだけではプロの世界ではやっていけないという考え方が根本にあるのでしょう。アマチュアレベルでは、新しい技術習得にチャレンジし、結果がでなければ、すぐに「前の打てていたフォームに戻す」と後戻りするようなことをやる選手がいます。「今よりも上手くなろう」「もっと良くなりたい」という向上心がなければ、将来の自分はないと思った方が良いでしょう。