【高校野球】青森県勢の公立校では19年ぶり甲子園 三沢商はなぜ「私学の壁」を破れたか
「私立は凄く強いですが、同じ高校生。勝てないことはない」
サヨナラのホームインを果たした米内山は「自分たちも甲子園に行きたいと思っていました。光星とか、個人のレベルが高いですし、守備もしっかりしている。実力あるチームなので尊敬しています。でも、私学に負けたくないと思ってやってきました」と話す。
また、鎌本主将も「私立は凄く強いですが、同じ高校生。勝てないことはないと思っていました」と言う。青森大会では昨年の決勝に青森が進み、一昨年は弘前が進出。公立の進学校が夏の決勝に進んでいた。ここ数年の結果を見れば、その差は確実に埋まってきている。三沢商に追い風があった。
3日に組み合わせ抽選が終わり、三沢商は大会第6日の第4試合で花咲徳栄(埼玉)と対戦することが決まった。29年前は開幕戦を戦い、甲西(滋賀)に0対7で敗れて早々と甲子園を去った。この時、「5番・中堅」で出場していたのが浪岡監督だ。
浪岡監督は教員ではなく、三沢市消防本部に務める消防士。コーチとして指導していたが、昨秋の県大会後、小笠原潤部長(当時監督)から監督就任を打診され、今年4月に正式就任。わずか3か月で母校を29年ぶりの甲子園に導いたことになる。
「何もできないまま、9回が終わった」という選手時代の甲子園。その経験を踏まえ、「みなさんのアドバイスを聞いて、落ち着いて引っ張っていきたい」と後輩とともに臨む大舞台を見据えた。
昨秋は県大会ベスト8、この春は県大会1回戦負けからつかんだ夢舞台。鎌本主将は優勝直後のインタビューで、「甲子園でも自分たちの野球をやって、勝ってきます」と宣言した。自信を持つ守備から攻撃につなげ、のびのびとプレーする三沢商に注目だ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count