【高校野球】青森県勢の公立校では19年ぶり甲子園 三沢商はなぜ「私学の壁」を破れたか

私学の争いになると見られていた中、代表の座を勝ち取った三沢商

 八戸学院光星、青森山田、八戸工大一、弘前学院聖愛と私学がひしめく青森県。今年は聖愛が春の県大会で優勝し、東北大会では青森山田と光星が決勝を戦った。八戸工大一にはプロ注目の195センチ右腕・内沢がおり、例年通りハイレベルな私学の争いになることが予想された。

 しかし、終わってみれば、代表になったのは三沢商だった。

 三沢商は、その名の通り、青森県三沢市にある県立の商業高校だ。三沢市内には、1969年夏に太田幸司を擁して甲子園準優勝した三沢があり、高校野球ファンの間では、こちらの方が有名だろう。しかし、三沢商も1986年夏に甲子園出場があり、今回はそれ以来の出場となる。

 三沢商はこの夏、鶴田、大湊、八戸工を下すと、準々決勝で聖愛と対戦した。2年ぶりの甲子園を目指した春の優勝校を相手に6対2で勝利。準決勝では、昨夏準優勝の青森に9対8と逆転勝ちした。

 そして、決勝。相手の光星はこの夏、決勝を迎えるまでの5試合で得点は46、失点は7。3回戦で弘前実と4点差だったものの、それ以外は快勝と言える勝ち上がり方だった。2011年夏から12年夏までの3季連続で甲子園決勝を戦い、今夏も4季連続甲子園出場を狙う試合巧者である。

 ただ、決勝を前に三沢商・浪岡健吾監督はこう話していた。

「ワクワクしています。日本一になれるチームとどれだけやれるのか、楽しみでしょうがないです」

 光星は「甲子園出場」ではなく、その上の「日本一」を狙っているチーム――。浪岡監督はそれを認めた上で、決戦に臨もうとしていた。

 試合前のジャンケンで三沢商は勝ち、後攻を選択。浪岡監督は「私はどっちをとってこいとは言いません。私だったら、先攻を選びますが、キャプテンに任せています。守りから、ということだと思います」と振り返ったが、この選択が後に結果を左右することになる。

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