【高校野球】屈辱からの頂点 東海大相模を全国制覇に押し上げた「1年前の苦い記憶」
あの夏の屈辱がなければ…
プライドを打ち砕かれたショックは、選手にとっても同じだった。敗戦を経験した小笠原、吉田はともにエースナンバーを競って互いを高め合った。当時の経験者たちが中心となって発足した新チームは「タテジマのプライド」をスローガンとし、その悔しさを練習の一球一打にぶつけていた。その結果、勝負弱かった1年前の過去を払拭した。
夏の神奈川大会では決勝で勇退する渡辺元智監督率いる永遠のライバル・横浜を撃破し、甲子園切符を獲得。さらに、選手権大会準々決勝の花咲徳栄(埼玉)戦では2-3とリードを許しながら土壇場の8回に追いつき、9回にサヨナラ勝ち。まさに去年の夏と同じような最大のピンチを今年は跳ね返し、そのまま一気に頂点に立った。
大会中、門馬監督がしきりに話していた言葉がある。
「去年は甲子園の厳しさだけを知った大会。『あの1点』を今年は取りたいと思ってやってきた」
あの夏の屈辱がなければ、この夏の歓喜は巡ってこなかったのかもしれない。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count