【パ覇者の強さを検証する(下)】常勝の礎に―パ連覇に導いたホークス工藤監督が就任1年目から出した「色」
来季以降を見据えた育成の手腕も発揮
打線にも特色が出た。3番・柳田悠岐、4番・内川聖一、5番・李大浩、6番・松田宣浩の中軸を固定する一方で、その前後を打つ1、2番と7、8、9番は頻繁に入れ替えた。
1番には、川島慶三、明石健志、今宮健太、本多雄一、中村晃、高田知季、福田秀平の7人を、2番にはこの7人に加え、長谷川勇也、牧原大成を起用。左投手に対して、左打者を1番に置くなど、セオリーにとらわれない起用もあった。その時々で、調子のいい選手、相性のいい選手を置くことで競争意識も煽った。
今季は、先に名前をあげた高田や福田、牧原に加え、打者では上林誠知、投手でも二保旭や飯田優也、千賀滉大、東浜巨、シーズン終盤にはルーキーの島袋洋奨なども1軍で次々に起用した。若手を積極的に使い、チーム全体の底上げも図った。そして、その若手は起用に応えて結果を残し、高田や上林はプロ初本塁打も放った。
12球団でトップの戦力層を誇るソフトバンク。それを操る工藤監督は、その戦力を極力維持し、そして、来季以降を見据えた育成という手腕も発揮した。今季は連覇を達成した一方で、常勝軍団への礎を築いたシーズンになったともいえるだろう。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count