【小島啓民の目】押し出し四球の阪神・高宮とラグビー日本代表に見る「攻めたこと」の大切さ
サヨナラ押し出しの場面、高宮の投球に何を思う?
「負けない野球」と「勝つ野球」では、結果的には勝利するということは一緒ですが、姿勢の点で少しニュアンスが違います。「負けない野球」のイメージは、なんとか相手の失点を出来る限り抑えて、好機を確実に点につなげるという言ったところでしょうか。
逆に「勝つ野球」とは、点を取られたら、取り返すといったリスクはあっても攻めるといったアグレッシブな印象でしょう。どちらが良いのかという議論をするつもりはないのですが、「負けない野球」という言葉が日本の野球を象徴しているのではないでしょうか。
勝つためにはリスクをヘッジしていくことが大切ですし、リスク管理はとても大事なことです。が、攻撃的な姿勢が不足するとどうしても慎重になり過ぎて思い切ったパフォーマンスができないものです。
例えば、投手が甘いボールを投げてはいけないと思って、ストライクを先行できずに苦しむとか、コントロールに気を使いすぎて、本来のボールの勢いが損なわれるなど慎重になり過ぎたために悪い結果を招く恐れがあるように……。
先日、ジャイアンツ対タイガースのクライマックスシリーズファーストステージ第1戦。延長10回サヨナラ押し出しで、3対2でジャイアンツが勝利しました。
そのゲームの最後の場面ですが、タイガース高宮投手が投じた最後の1球は、無情にも僅かにボールの判定となりました。みなさんはどう思いましたか? 私としては、高橋由伸選手の足元をつく素晴らしい投球だったと思っています。