“レジェンド”山本昌、独占インタビュー(下)「自分に投球術なんてない」
趣味のラジコンに熱入らず…「今思うと、野球が一番の趣味だった」
――今後について伺います。指導者をやるということは、頭の中にありますか?
「まだやめて1か月も経っていないので、あまりピンときませんけど、またいつかドラゴンズのユニホームなり、他球団でも声がかかればユニホームは着てみたいと、もちろん野球人ですから思ってます。今はまだこれくらいのものですけど、まだまだ勉強してやっていきたいと思います」
――引退会見の時には、指導者をやるために『まだ知識が足りない』とおっしゃっていました。今でも若い選手に伝えることはたくさんあると思いますが。
「もちろん、あるでしょうね。ただ、まだコーチではありませんし、自分の範囲を越えてまでは出来ませんから。それまでに十分な勉強ができるようにやっていく中で、もしそういう声がかかれば、思う存分やってみたいという気持ちはあります。まだ辞めたばかりですけど、ユニホームに袖を通せるという、あれだけ幸せなことはありませんから。これは辞めないと分かりません。いつかそういう日が来たら、それまで一生懸命、勉強しようと。思う存分、勉強して頑張っていきたいと思いますけど」
――引退会見では『趣味のラジコンをやりたい』という話もされてました。
「ラジコンもしたいけど、今は忙しくてね。今こうなって思うと、野球が一番の趣味だったんですね。仕事でもあり、やっぱり野球というものがあってのラジコンだったんだなと、すごく思います」
――ラジコンは野球で力を出すための息抜きだったということですか?
「そういうのもあったかもしれないですね。ラジコンだけやれと言われても、ピンと来ないんですよね。自分の根っこたるものがないと、ラジコンに意識が向かないですね。だから、来年、正式に野球解説者としてデビューできて、そっちが軌道に乗ったら、ラジコンもしたくなるかなと思いますね。
今は自分の立ち位置が全くわからない状況なので。こうやって仕事に呼んでもらってますけど、これも来年になったら分かりませんし、またしゃべることも勉強しないといけません。すぐにラジコンというわけにはいかないです。しゃべるのも勉強しないと、難しいですから。何とか伝わりやすいようにしゃべらないと」
――今でも十分に伝わっていると思いますが。
「そんなことないですよ。自分の中で知ってることを言葉にしているだけで。1人での公演なんかも、やったら大変でしょうねぇ。野球をやっているのが一番楽だと分かりますね。体力的に楽なのではなくて、気持ち的に。これをやっていれば自分の調子が出るとか、これくらいやっておけば野球選手として最低限大丈夫だとか、そういうことは全部体に染みこんでますから。体はきつかったですけど、それをやれば自分の責任で終われたわけですから。あとは試合に出ていい結果が出るかどうかですから。今は色んな責任がありますから、新卒の社会人という感じです」
――32年間というのは本当に長いです。普通の社会人でも、1つの会社に40年くらいしか在籍しません。
「そう考えると本当によくやったなと思います。野球も定年みたいなもので。でも、ここからまだ野球の勉強ができる。幸せな環境にいますので、しっかり頑張っていきたいと思います」
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count