笑顔あり、涙あり、驚きあり―高校球児らの言葉で振り返る2015年アマ球界
「地元に帰って公務員をやりたい」…衝撃の“引退宣言”、その後の撤回
○「これから先、これ以上いいことないだろうと思う」/敦賀気比・松本哲幣
選抜大会で春夏通じて初優勝を果たした敦賀気比。準決勝で史上初の2打席連続満塁アーチを放ったラッキーボーイの松本は決勝戦でも、土壇場の8回に決勝2ランを放ち、日本中の度肝を抜いた。ミラクルを演じた主役の優勝後の言葉は、17歳の高校生らしい素直なものだった。大会後にはワイドショーが実家へ取材が殺到するなど、一躍、時の人となっていた。
○「普段通りに戦ったって勝てない。でも、接戦を繰り返せば、いつか野球の神様がほほ笑んでくれると思っていた。就任して、苦節2年。やっとトンネルを抜けました」/東大・浜田一志監督
長い長い連敗街道から抜け出せなかった東大が、5月の法大戦で延長10回の死闘の末に勝利。それは2010年秋に斎藤(現日本ハム)を擁する早大に勝って以来、4年半ぶりのこと。2分けを挟み94連敗。六大学で唯一、推薦入試を持たない東大が、ついに1勝を掴み取った。学習塾長から監督に転身した浜田監督の言葉には、それまでの苦労が込められていた。
○「(卒業後は)地元に帰って公務員をやりたいです。野球は結構やったので、いいです」/流通経大・生田目翼
6月の全日本大学選手権で全国デビューを飾った流通経大・生田目。155キロの豪腕にプロの注目を集めたが、試合後に進路について問われると、まさかの野球引退宣言……。投球以上に報道陣を驚かせた。だが、その後は周囲とも話し合って発言は撤回し、準優勝を達成。さらに上の舞台で野球を続けることに意欲を見せており、来年のドラフト候補になりそうだ。
○「生まれ変わってもう一回、野球ができるなら、この先輩たちと野球がしたい」/早実・清宮幸太郎
この夏、社会現象となるほど話題を呼んだ早実の「怪物」清宮。8月の甲子園に出場すると、1年生初の2試合連続アーチを放つなど大暴れを演じ、高校野球100年の夏の主役となった。だが、快進撃を見せたチームは準決勝で仙台育英に完敗し、日本一まであと2勝で敗退。試合後、涙を流しながら語った言葉には、清宮ばかりが騒がれながら、温かく支えてくれた先輩たちとの絆が見えた。