番狂わせあり、大逆転あり、死闘あり―「名勝負」で振り返る2015年アマ球界

西東京大会決勝の大逆転、名将最後の試合となった神奈川決勝、高岡商の驚異の粘り…

○夏の西東京大会決勝・早実 8-6 東海大菅生

 夏の話題をさらったのは、怪物・清宮幸太郎を擁する早実だった。西東京大会決勝では5点を追う苦しい展開となったが、8回に反撃を開始すると、2万8000人が集まった球場全体が早実を応援する異様なムードに。東海大菅生の投手陣もストライクがなかなか入らず、一挙8得点の甲子園への道を切り開いた。球場のムードやわずかな流れによって大逆転につながってしまう。これも、高校野球の怖さかもしれない。

○夏の神奈川大会決勝・東海大相模 9-0 横浜

 高校球界で今年最大のニュースの一つが、横浜の名将・渡辺元智監督の勇退だろう。数々のプロ選手を輩出した名監督の最後の夏は神奈川大会決勝に進出。その相手となったのが、激戦区で最大のライバルとしてしのぎを削ってきた門馬敬治監督率いる東海大相模だった。それ自体が、運命的なものを感じさせる一戦。結果こそ横浜の大敗だったが、50年間の指導者生活を完全燃焼したという渡辺監督の姿に、高校野球の一つの時代の終わりを見ているようだった。

○都市対抗野球大会決勝・日本生命 5-3 大阪ガス(延長14回)

 アマチュア野球の最高峰に位置する社会人野球での名勝負が、日本一をかけた一戦で繰り広げられた。都市対抗決勝は3点のビハインドを日本生命が終盤に追いつき延長戦に突入。以降は互いに譲らず、試合時間は4時間を超えた。試合が動いたのは、延長14回だった。2死満塁から、タイムリーでついに決勝点をもぎ取った。4時間43分に及ぶ死闘は、大会史に語り継がれるだろう。

○夏の甲子園2回戦・関東第一 12-10 高岡商

 点の取り合いでどちらに転ぶか分からない。高校野球の面白さを凝縮させたような試合が、夏の甲子園で起こった。イニングスコアは以下の通り。

高岡商
000 701 020=10
107 000 22X=12
関東第一

 特に光ったのが、高岡商の驚異的な粘りだ。3回までに8点という絶望的なリードを奪われながら、それでも集中を切れらすことなく、6回に同点に追いついた。2点を勝ち越された8回にも再び同点に。最後は力尽きたが、試合終了まで諦めない高校野球のお手本のような姿勢が素晴らしかったのは、試合後の観客からの喝采が示していた。

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