8年ぶり200勝投手誕生へ 広島・黒田に課題は? 「47球」少なすぎた球種
際立つ投球術と適応力、ヤンキース最終年よりスライダーは増、課題の球種は……
「ストレート系の投球数が多いところは、ツーシームで右バッターの高いところ、カットボールは左バッターに対して高いところに投げにいっている。打たせて詰まらせようということですよね。だから、一概に高めが駄目だとは、黒田には当てはまらない。右バッターへのカットボール、左バッターへのツーシームは低いところに投げないといけないですけど、右バッターのツーシーム、左バッターのカットボールならこの高さで全然OKだと思うんです」
野口氏はこのように指摘しつつ、「やっぱりフォークは低めに集まってますよね」と感心した。動くボールで胸元を攻めながら、勝負どころでは低めへの落ちるボールを使うというのは、ヤンキース時代終盤のスタイルでもあった。
ただ、勝負球については変化も見える。ヤンキース最終年にはフォークの割合が極端に増え(2013年17.7%→27.4%)、本来は決め球だったスライダーは状態が悪かったこともあり、割合が減った(2013年29%→2014年22.3%)が、昨季はスライダーが695球で全体の27%まで戻っている。しかも、結果球として164打数31安打の打率1割8分9厘と効果的だったことが分かる。
また、スライダーよりも曲がりが小さいカットボールは、2014年の2.4%から昨季は約19%と大幅に増加。日本の公式球に変わり、2月のキャンプ中には「打者の頭に残るボールだと思う」とカットボールのキレ味に手応えを示していた黒田が、これを多投していたというデータが出ているが、被打率は.278と直球系の次に高い。野口氏は「カットボールに意外とついてこられるから、途中からスライダーが増えたのかもしれませんね」と推測する。その前のシーズンで苦しんだスライダーに手応えを感じたことは、今季の投球につながるだろう。
そして、野口氏が来季への大きな課題として挙げたのが、カーブの割合だ。シーズン中からカーブが少ないことを何度も指摘していたが、シーズン終了後のデータでは、実際に全投球の1.8%の47球しか投げなかったと出ている。