8年ぶり200勝投手誕生へ 広島・黒田に課題は? 「47球」少なすぎた球種

200勝に挑む黒田、2015年の球種割合から見えてくる今季の鍵は?

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2015年 黒田博樹の球種別コース比重ヒートマップ

 メジャーリーグから8年ぶりに広島に復帰した黒田博樹投手は2015年、先発ローテーションを守り、11勝8敗、防御率2.55の好成績を残した。豊富な経験を誇り、マウンド以外でも広島の若手に大きな影響を与えるなど、その存在は絶大だった。

 オフには悩みぬいた末に現役続行を決断。現役最高の年俸6億円(推定)と最大級の評価を受け、新シーズンのマウンドに上がる。日米通算193勝(NPB114勝、MLB79勝)を挙げてきた右腕には今季、200勝到達への大きな期待がかかるが、復帰1年目のシーズンから見えてくる課題とは何なのか。

 ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜と4球団で捕手として活躍した野球解説者の野口寿浩氏に、昨年の全投球の分布が分かる「球種別コース比重ヒートマップ」、結果球の「被打率別ヒートマップ」から黒田の投球を分析してもらった。

 8年ぶりに日本の打者と対峙した昨季、黒田の代名詞とも言えるツーシームを含めた直球系は、意外にも結果球として202打数67安打の被打率.332と打ち込まれていた。野口氏は「ああいう触れ込みで来てるので、右バッター、左バッターともに内角高めは狙い所なんでしょうね」と指摘する。ただ、「特に前半戦は捕手が困ったらツーシームというのが多かったですからね」とも分析。要求に対して黒田も首を振らずに投げては痛打されるという場面が多かった。日本への再適応の途中だった時期の結果が表れているのかもしれない。

 球種別コース比重ヒートマップを見ると、直球系は右バッターの内角高め、カットボールは左バッターの内角高めが目立つ。全体的に高めが多いようにも見えるが、これはメジャーの打者を抑えこんできた黒田の動くボールを活かす投球術でもある。右打者の胸元をえぐるように変化するツーシーム、逆の変化で左打者の手元に食い込むカットボールは、ベテラン右腕の投球術を支える大きな武器だ。

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