阿部の正捕手復帰で、巨人が「突き抜けるかも」!? 3つの相乗効果とは

空いたファーストのポジションは”守備の名手”の起用も?

 そして、野口氏は3つ目のメリットとして、ファーストのポジションが空くことによる『起用法の幅の広がり』を挙げた。

「ファーストはギャレットか、(村田)修一ではないでしょうか。クルーズをファーストに回すのもいいと思います」

 ヤンキースから加入したギャレット・ジョーンズに加え、正三塁手の村田も一塁手としての起用が考えられるという。さらに、ロッテではセカンドを務めた名手クルーズをファーストに回すという大胆な選択肢も生まれるとした。

 セカンドのポジションは、今オフに西武から脇谷も獲得しており、昨季の正二塁手の片岡と合わせて、主力を張れる選手が3人ひしめき合う。ギャレットの本職は人材豊富な外野手で、村田が守る三塁も2014年のドラフト1位・岡本が控えている。ファーストが空いたことで、余剰になりがちなポジションの選手を上手く起用できる可能性は広がったと言えるだろう。

「ギャレットはファーストもうまいですが、本職は外野なので。クルーズをファーストにするという考え方は、(元阪神の)シーツのイメージに近いですね。(アウトのタイミングのゴロを)100%アウトにできるファーストがいると、ベンチも守備陣にとっても相当安心です。これは(シーツを一塁で起用した)岡田監督の『ファーストがどれだけ重要か分かっているか』という言葉に集約されていると思うんです」

 アンディ・シーツは2003年から2年間、広島で遊撃手として活躍しながらも、2005年からは阪神で一塁手を務め、3年連続ゴールデングラブ賞を受賞した。野口氏は、元々、遊撃で守備に定評があった選手を一塁で起用した阪神の例を挙げ、クルーズのファースト起用の可能性に言及。人材は豊富なだけに、空いたファーストを巡って様々な起用法が考えられそうだ。

 リード面はもちろん、安心感、打撃、起用法など、様々なメリットが考えられる阿部の捕手復帰。それだけ、すべての面でまだまだ影響力を持っている選手だということが改めて分かる。ただ、これらのメリットも「全て阿部がシーズン開幕戦から出れるというのが前提」と野口氏は話す。

 これからキャンプ、オープン戦と続いていく捕手としての調整が順調にいくのかどうかも、今シーズンの阿部、そして巨人の成績に直結するといえる。3月に37歳を迎える巨人の支柱。そのキャンプでの動きに注目が集まりそうだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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