仙台育英の卒業式で、準優勝ナインに最後の“訓示” 「毎年集まれるように」
佐々木監督からは厳しい言葉も、主将は「天狗にならないように」
「高校を卒業しても野球をやる人がいる中で、『Pトレ松葉』(仙台育英独自の基礎体力トレ)を毎日、やれと言ったけど、1人もやっていないよね。(免許証で)褒めて、落としたんだよ。大学やプロに入っているけど、『Pトレ松葉』を毎日、やっていれば、苦しまずに練習について行けたのではないかなと思います。プロだろうが、大学だろうが、関係ないよ。やらなきゃいけない時になんでしないの? (大学に行く選手に)守備(がよくなくて)で外されたでしょ? やることをやらないと、ご褒美はもらえないんだよ」
高校野球を引退した後の過ごし方を振り返らせた佐々木監督。最後の最後でもこんな話をするのは、仙台育英から巣立った部員たちが新たな世界に適応していかなければならないからだ。「ここと大学では雰囲気が違うと思います。それが当たり前だと受け入れられるようにしてください。ここは過ごしやすかったと思うけど、君たちが正しいわけじゃないからね」と、改めて釘を刺された。
「先生からは素晴らしい学年だと言われたけど、ダメな部分はダメだと言ってもらいました。甲子園準優勝は良かったこととして心にしまって、誇りにはしても自慢はしないように、天狗にならないようにしていきたいですね」と語った佐々木柊前主将。仙台育英の硬式野球部出身、そして甲子園準優勝という看板を背負っていくことになる。
高校3年間で佐々木監督からは多くの“訓示”を受けてきたが、その中の1つは「謙虚」でいること。それは野球に限ったことではなく、むしろ、これから先の人生で大切になることだ。
最後に佐々木監督は、夏の甲子園準優勝という貴重な経験をした32名の卒部生へ、「いい思い出ができた代だから、毎年、集まれるように」と“指令”を出した。高校生活の3年間で培った絆は永遠に……。そんな願いを込めてーー。
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高橋昌江●文 text by Masae Takahashi