21世紀枠出場で初勝利 釜石の甲子園1勝の裏にあった「言葉の力」
「自分のプレーが家族の励みになっているとは思わなかった」
選手たちは「自分はただ自分のプレーをしようと思っていただけでしたが、自分のプレーが家族の励みになっているとは思わなかった」、「プレーで感謝を届けたい」と、より強い気持ちになったという。
小豆島戦の直前。さらに選手の力を引き出したのは佐々木監督の力作の品だった。選手ひとりひとりにメッセージを送ったのだが、それも口頭で伝えるのではなく「形に残る方がいいと思った」とパソコンでメッセージが出てくる動画を製作。BGMはテレビ朝日系列「熱闘甲子園」のテーマ曲として使われた 関ジャニ∞の「オモイダマ」、NHKの五輪のテーマ曲だったゆずの「栄光の架橋」。熱い曲を聞きながら、選手はメッセージを読んだ。
エースの岩間には「いろんなものを背負って投げている。自分のために、楽しんで投げてくれ」という言葉が流れた。そして見事に1失点完投勝利。決勝タイムリーの奥村には「釜高で一番いい打者だということを、全国に見せつけてこい」などといった文言が音楽に乗せられていた。監督の期待に応えて、それぞれの選手は活躍した。
佐々木監督は「勝つことが応援してくださるみなさんへの恩返しだと思っています」と勝利のために選手を鼓舞した。そのために様々な手法で選手の力を引き出した。2回戦で敗れたが、釜石の1勝は、ひとつの「形」となって、甲子園の歴史に刻まれた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count