四国IL選抜チームが北米遠征で異例のホームステイ 3日間の経験で得たモノ

ホームステイが精神面に与えた影響、「ホテルにいるより、すごく良かった」

「お父さんがいろいろ話しかけてくれて。4人子供がいるんですけど、一番上の中2の男の子が野球をしていて。『野球を教えて!』と言うので、初日の夜にグラウンドに行って教えたりしました。あと、上の女の子と下の2人が8歳の双子で、3日目の夜は4人でずっと部屋で遊んでました」

 8歳の双子とは、ほとんど英語でコミュニケーションを取った。自ら朝食をふるまってくれるというお父さんに「何が食べたい?」と聞かれ「和食」と答えた。自家製納豆までごちそうになっている。とてもリラックスした時間を過ごせたと話す。

「応援してくれる人が増えるわけじゃないですか。ボールダーズ戦(第8~10戦)見に来てくれるらしいんですよ。『また頑張ろう』ってあらためて思いますよね。試合に入る前じゃないですか。切り替えというか『よし!』みたいな気持ちが入る。こっち来て、体とか気持ちとかちょっとしんどかったんですけど、子供たちに癒されました。やっぱり可愛いので」

 福永春吾(徳島IS)は大城優太(高知FD)とともにシャープさん一家にお世話になった。奥さんが日本人だ。昨年の北米遠征時、ニュージャージーの小学生たちとの野球交流会で、一緒にキャッチボールをしたのがシャープさんの次女だった。

「子供たちが友達の家で誕生日パーティーをやっているというので、そこへ迎えに行くところから始まりました。僕とお母さんでそのお宅にお邪魔して。そのままご近所さん家族と話をして。そこのおじいちゃんの娘さんがむかし、ウインブルドンでいいところまで行ったらしくて『そういう子たちを育てた!』って。おばあちゃんは戦後すぐの東京に行ったことがあるらしくて『試合も見に行く』って言ってくれました」

 最も印象に残ったのは、家族でダウンタウンのイタリア・レストランに食事に行ったことだ。みんなでピザ、パスタを分け合いながら、まるで本当の家族のように思えた。

「僕自身、なかなか家族そろってご飯食べに行くことがなかったので。こういうのが久しぶりで。みんなでピザを食べたりする経験がいままでなかったから」

 アメリカでの暮らし方についてもいろいろ教えてもらっている。家には硬水を軟水に変えるためのマシーンルームがあり、屋根裏部屋があり、普段は子供たちの遊び部屋となっている地下室を寝室として与えられた。

「こういうのがアメリカなんだなって、すごく貴重な経験になりました。きょうの朝もすごく寂しくて。お父さんは仕事が早くて、きのうの夜が最後だったんですけど。子供たちは朝早かったので、早く起きて見送って。一番小さい子は午前中、義務教育じゃないらしくて、授業を休んで僕らのバスを最後まで見送りに来てくれたので、すごくうれしかったです。ホテルにいるよりこういうホームステイで、僕にとってはすごく良かった」

 実は昨年、初めての海外にうまく順応することができず、苦しんだ。それがマウンドでの投球にも影響してしまい、結果を残せないまま遠征を終えている。秋のドラフトに候補として上ったが、残念ながら指名されていない。2年目の今年、前期リーグ戦で防御率2位、奪三振数1位の成績を残し、再び遠征メンバーに選ばれた。このホームステイを経験したことでいま、去年とはまったく逆の精神状態にある。

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