日本とは、もはや別物? メジャーリーグのトレード事情
トレード期限の到来で、負け越しチームの雰囲気は一変
だが、トレードにはもう一つの見方がある。サバシア投手の契約はこのシーズン終了後には切れるものだった。メジャーを代表する投手になったサバシア投手にインディアンスが新たな契約を提示し、資金力で豊富な球団に勝つことは難しいと思われていた。シーズンが終わり、タダで他球団へFAとして出ていかれるのであれば、その前に見返りを貰っておこうという考えも含まれていたはずだ。
2009年に入ってインディアンスは立て直しを図るが成績が上がらず、完全に「再建モード」へと突入する。先発ローテの柱であったクリフ・リー投手、オールスター捕手のビクター・マルティネス選手と、次々に主力をシーズン中にトレードすることになった。
私は当時広報部のインターンとして勤務していたことから、いつでも記者会見をする準備、そしてメディアに発表するプレスリリースの下書きなどに追われる日々だった。
トレード期限日が近くなり、チームの負けが続けば、球団内部には“いつトレードが実行されてもおかしくない”という空気感が自然と漂う。学生ながらその場を経験できたのは大変貴重だったことは言うまでもない。