ついに西武の「看板選手」が球宴へ 初出場・栗山に戦友が抱く密かな期待
球宴では「ヒットよりもホームラン。ヒットよりも四球」!?
出場が決まった後、栗山本人とはオールスターについて直接話してはいないというが、上本が密かに期待する、たった2試合の中で“栗山巧”の凄さを証明する方法とは……。
「ホームラン打ちにいけばいいんじゃないですかね。狙って打てない選手ではないですから。それか、あえて、普通通り四球を取りにいくか。ヒットよりもホームラン。ヒットよりも四球だと思いますよ」
さすが14年来の戦友!と、脱帽せずにはいられないほど、この言葉には、栗山巧の選手像がすべて詰まっているように思う。恐らく、現実的に求められれば、本塁打を量産するための技術力と努力する術は持ち合わせているはず。また、四球数を含めた出塁率は毎年4割近くの数字を残し続けており、栗山の専売特許の1つともいえる。その選球眼の良さには、入団時から田邊徳雄現監督(当時は2軍打撃コーチ)も着目しており、「最初から別格だった」と、賛辞を惜しまない。
本塁打も四球も、どちらも十分狙う価値があることは間違いない。「オールスターだからといって、何かが特別できるわけではないですが、思い切りバットを振りたい」と、意気込みを語ったライオンズの看板選手。どのような形で存在をアピールしてくれるだろうか。同時に、ゲーム内だけに止まらなくていい。選ばれた、各チームの中で同じ立場にあるであろう中心選手たちの立ち居振る舞いの中から、何を感じ、刺激を受け、今後に生かしていくのだろうかが非常に楽しみでもある。
本人の好成績はもちろんだが、ファンも一緒になって掴み取った形の出場切符。ライオンズを想う人にとって2016年オールスターは、念願叶った、通年以上に格別な舞台になりそうだ。
【了】
上岡真里江●文 text by Marie Kamioka