指名漏れ桃太郎、阪神ドラ2右腕に教えられた「プロに行けない力の無さ」
後輩に託した明治神宮大会出場、「悔しさを忘れないでほしい」
1年春からレギュラーをつかみ、全8シーズン(91試合)でフル出場した。1年秋には打撃三冠など、タイトルを総なめ。2年春には67季ぶりのリーグ優勝に貢献し、一度も出場がなかった大学選手権には2、3年と2連続で出場した。4年秋もリーグ優勝を勝ち取り、初の明治神宮大会出場にあと一歩まで迫った。
松本は4年間を振り返り、「終わってみるとあっという間だったが、仙台大の新しい時代を築けたと思う」と頷いた。森本吉謙監督は「桃太郎に限らず、今年の4年生は下級生から試合に出てきた。この選手たちのタテジマ(のユニホーム)が見納めになると思うとピンとこないが、4年間、一生懸命やってくれて感謝している」と話した。在学中にリーグ優勝3回、大学選手権出場2回と仙台大の歴史を大きく動かし、輝かせた学年。その中心に松本がいた。
ゲームセット後、松本は「野球の負けは誰かのせいということはない。来年もあるので今日の悔しさを忘れないでほしい」と号泣する後輩の先発投手を励ました。先発するも、1回0/3を投げ、5安打5失点(自責3)で降板した岩佐政也投手(3年)は「絶対に抑えて4年生と神宮に行きたかったが、空回りして体が動きませんでした。モモさんには謝ることしかできなかったが、『お前は悪くない。来年、行けばいいから』と言われました。来年はピッチャーで勝てるチームを作りたいです」と目を赤くした。
「仙台大はここで終わってはいけない。勝ち続けるためにも後輩たちには頑張ってほしいです。僕は2年後に向けて階段を1段、1段、登っていきたいと思います」
松本は自身を大きく成長させてくれた母校にエールを送り、誓いを新たにした。
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高橋昌江●文 text by Masae Takahashi