7点差逆転に雨の悲運も 熱戦続いた2016年甲子園、心に残る10試合は?
2度の降雨中断が流れ分けたのちのドラ1対決
〇5位 夏2回戦 履正社(大阪)5-1横浜(神奈川)
V候補同士の激突 雨に泣いた横浜
優勝候補が2回戦でいきなり激突し、大注目のカードとなった。のちのヤクルト1位の寺島と楽天1位の藤平がエースの両校。二人の投げ合いが予想されたが、藤平は先発せずにリリーフ登板。2回に履正社の攻撃中に2度の降雨中断。再開後、2度とも履正社が得点し、流れをつかみ、勝利した。3回以降は藤平、寺島の投げ合いで両軍無得点だった。雨が試合に大きく関係した試合となった。
〇4位 夏2回戦 東邦(愛知)10-9八戸学院光星(青森)
観衆を味方につけた東邦が最終回に5点差を逆転
東邦は4-9と5点ビハインドで迎えた最終回に打線がつながり、じわりじわりと点差を縮めていった。すると、次第に応援席以外のファンも東邦を応援する空気となってタオルを回し始め、場内は異様なムードとなった。相手エース・桜井はのみこまれ、東邦は7回の攻撃時点であった7点差を一気に逆転してしまった。
〇3位 夏準決勝 北海(南北海道)4-3秀岳館(熊本)
北海のエース・大西が4連続完投劇で人気急上昇
エースの大西は初戦から一人で投げ抜いてきた。相手は強豪の秀岳館打線だったが、緻密なコントロールで仕留めていった。4-0の7回からじわりと1点差まで攻められたが、最後は意地で完投勝利。126球の完投劇だった。次の決勝戦では球に切れがなく、準優勝に終わったが、マウンドで表情を変えないV6・岡田准一似の甘いマスクが視線を集めた。卒業後は東京六大学・慶大に推薦合格している。
〇2位 春決勝 智弁学園(奈良)2-1高松商(香川)
村上が最初から最後まで主役の座
準決勝に続き、決勝もサヨナラ勝利で優勝を決めた。エースの村上は5試合を669球を一人で投げ抜いた。大会1日目の開幕戦に投げたのが村上なら、決勝でサヨナラタイムリーを打ったのも村上だったという、まさに大会通じての活躍。初優勝をもたらした。
〇1位 決勝 作新学院(栃木)7-1北海(南北海道)
エース・今井&4番・入江が大活躍で54年ぶりV
のちに西武ドラフト1位となる作新学院のエース・今井が底力を発揮。試合の終盤でも152キロの球速を記録するなど、話題を集めた。また、この大会は4番の入江が準々決勝まで3試合連続本塁打するなど、チーム一丸となり、若き知将・小針監督に優勝を捧げた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count