早実の怪物2人の運命を変えた、背番号1・斎藤佑樹の「あの夏」
心を揺さぶられたもう一人の怪物
入学後、1年生ながら名門の4番を託され、すでに23本塁打をマーク。秋の東京大会決勝の日大三戦ではサヨナラ2ランを放ち、センバツ行きが当確。自らのバットで、スタンドから見つめていた甲子園の黒土を踏む権利をつかみ、出場決定後にはこう意気込んだ。
「自分の持っている以上の力を出せる場所。神宮大会で5割以上、打ったので、甲子園でも5割以上は打ちたい」
心揺さぶられたのは、野村だけではない。早実のもう一人の怪物・清宮幸太郎内野手(2年)も、あの日、甲子園のスタンドにいた。
当時、早実初等部1年生だった幸太郎少年の父は、言わずと知れたラグビーの元トップスター・克幸氏。偉大な父の影響で、野球だけでなく、ラグビーも始めた。だが、白球か楕円球か、後にどちらかに絞り込む際、甲子園で得た感動と興奮がやはり、野球を志す一つのきっかけとなったという。
その後の活躍は、誰もが知るところ。1年夏に初出場した甲子園で2試合連続本塁打の離れ業を演じ、4強入り。通算本塁打は2年秋終了時点では驚異の78本に到達し、3番を託される主軸として押しも押されもしない今年のドラフト目玉候補に躍り出た。