憧れの甲子園ロッカーで流した涙 元ドラ1が人的補償経て辿り着いた10年目

先輩からかけられた言葉、「あんなに泣いたのは後にも先にもない」

 誰もいないロッカーで、たたずんだ。しばらくすると必勝祈願を終え選手たちが戻ってきた。先輩選手たちに挨拶を交わした。

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ロッテ・高濱卓也【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

「必要とされているから選ばれた。これはチャンスだ。1軍で活躍をするチャンスだよ」

 当時、現役だった金本知憲外野手(現タイガース監督)ら、憧れの先輩選手が次々と優しく声をかけてくれた。その瞬間、それまで我慢をしていた感情が溢れ出た。マスコミ相手の記者会見では気丈に振舞っていたが、もう我慢が出来なかった。人目をはばからず、泣いた。涙というものが、こんなに止めどなく溢れ出ることを若者はその時、初めて知った。ようやくたどり着いた憧れの甲子園のロッカーで高濱は人目をはばからず、いつまでも泣いた。

「いろいろな想いが湧きあがって、いろいろなことが頭をよぎり、涙が止まらなくなった。あんなに泣いたのは後にも先にもありません。でも、あの時、先輩たちが励ましてくれた言葉はその後の自分の支えとなっています。今も忘れません」

 高濱は運命を受け入れた。1週間ほどで準備を整えると、気持ちを入れ替え新しいチームに合流した。突然の環境の変化に戸惑い、体重が6キロほど落ちた時期もあったが、先輩たちの言葉を胸に歯を食いしばった。

 その後の2011年5月25日。甲子園で行われたタイガースとの交流戦。2番遊撃でスタメン出場をした高濱は7回に先頭打者で打席に入ると久保田智之投手のストレートをはじき返した。打球は中堅を越えた。フェンスに直撃する二塁打。あわやの一発を古巣相手に見せ、チームも勝利した。試合後、いろいろな感情がこみ上げてきた。

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