デスパイネ退団で燃える男・アジャ井上 4年目へ胸中吐露「ラストチャンス」

何千回と振り続けて気付いたこと、「今までになかった新しい感覚」

 結果的に2016年シーズンは35試合の出場で2本塁打に終わった。打点こそ自己最多の16打点を稼いだもののファンの期待値の高さから考えると、あまりにも物足りない。

 迎えた千葉県鴨川市での秋季キャンプでは徹底的に自分と向き合い、振り込んだ。全体練習後に室内で140キロ後半近く計測できる速球マシン相手に打ち込むのを日課とした。豪速球に振り負けないための練習。何千回とスイングを重ねるうちに気が付いたことがあった。

「打っていて思った。自分は人よりも体重があり、それだけおのずとパワーがある。だから、パワーで打ち返そうとするのではなく、力まずにいいポイントで合わせるように打っても打球が飛ぶ。ボールに対する円滑なバットの出し方を意識するようになった」

 自身が求められている長打を意識するあまり、とにかく振り負けない力強いスイングでボールを叩くことを過剰に心がけていた。しかし、それでは逆にボールに対して、自身のすべての力が伝わっていないことに気が付かされた。点ではなく線でボールを捉える。バットの出し方、ポイントを意識してのスイングを試した。そのイメージで構えると140キロ後半の速球をもコンパクトながら鋭い打球となって弾き返すことができた。秋の収獲。大きな手応えを掴んだ。

「プロに入って今までで一番、手応えを感じている。あとは実戦でこのスイングがどれだけできるか。自分としては今の打撃は絶対に良いと思っている。バットの出し方は今までになかった新しい感覚で楽しみです」

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