“隠遁生活”から現場復帰しWBC制覇 米国を初優勝に導いた72歳監督の手腕

大会MVPストローマンも「男の中の男」と心酔する指揮官

 スポーツマンは勝負師だ。ミーティングのたびに「みんな勝ちたいだろ。勝ってやろうじゃないか。アメリカに初めての優勝をもたらそう」と話し掛け、選手の闘志に火を付けた。決勝戦直前の記者会見で意気込みを問われると、いたずらな笑みを浮かべながら発したのは「We try to make America great again(アメリカを再び偉大にしようとするだけだよ)」というトランプ大統領が選挙期間中に連呼したレーガン元大統領のスローガン。野球の母国、野球大国として世界大会で“復権”すること、アメリカが偉大であると示すことは、選手にとっても大きなモチベーションになったようだ。

 同時に、積極的にコミュニケーションを取る気遣いも、選手たちの琴線に触れた。25歳のイエリチは「選手一人一人に気遣ってくれるんだ。選手が懸命にプレーすること、国の代表として恥じないプレーをすることが大きな意味を持つ。いつもそう話してくれたんだ。監督の下でプレーできて本当によかった」と振り返る。

 決勝戦で6回無失点の快投を披露し、大会MVPに輝いたストローマンも「監督は男の中の男。チームを完璧な方法でまとめ上げてくれた。その言葉1つ1つが、選手にやる気を起こさせるように計算されているとすら感じたよ。ミスター・リーランドのことは心から尊敬している」と、すっかり心酔した様子。これを限りに再び隠遁生活に戻る指揮官は「これが最後。もう2度とユニフォームは着ない。誰もそんなこと気にしやしないだろ」と笑うが、早くも次回大会の出場を表明したストローマンは「4年後に監督復帰してもらう」と冗談めかしながらも真顔で“引き戻し”を宣言した。

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