「ボールの中に神様がいる」 作新学院、33歳監督を変えた亡き恩人の教え

「やらされた1時間、自分でやる30分では成果が違う」

「やらされる練習ではなく、自分からやる練習をどうしていくかということ。やらされた1時間、自分でやる30分では成果が違うのかなと思う。その気にさせるために叱咤激励しながら、選手の姿勢を大事にさせてきました」

 次第に選手達にも考えが浸透し、自分で考えるようになったという。昨年のチームでいえば、栃木大会を制した時、当時主将の山本拳輝が「まだ(栃木の)6回戦(決勝)が終わっただけ」と県の優勝が通過点であったことを強調した。小針監督が言おうと思っていた言葉を発し、まだまだこのチームは強くなると思ったという。実際に最後まで夏の甲子園を戦い、改めて高校生のすごさを感じたという。

「選手の力を引き出したいというのはどの監督さんも思う。叱って、後に残らないのは厳しい。ただ、自分の思いもぶつけないといけないし、その辺のコミニュケーションが少し前と変わってきた感じがします」

 厳しさを持ちながら、愛を持って接する。時間はかかるけど、伝わっていく。そう信じた。尾藤監督は小針監督らを指導した甲子園塾の後に体調を崩し、2011年の3月にこの世を去った。名将が言いたかったことが少しだけわかったような気がした。教えを守り、1982年夏、1983年春を連覇した池田(徳島)以来の快挙に挑んでいる。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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