引退決意の岩村明憲、21年のプロ生活で守り続けた恩師・上甲監督の教え
「上甲監督がいなければプロ野球選手にもなれていない」
愛媛の強豪高校、宇和島東と済美の監督を歴任した上甲監督は、通算17回甲子園に出場し、春の選抜では両校を1回ずつ優勝に導いている。高校時代に師事した上甲監督について、岩村は「自分の人生を大きく成長させていただいた方」と話す。
上甲監督との思い出は尽きない。今回の引退も真っ先に相談、報告する存在だが、残念ながら2014年9月に胆道がんのため、67歳という若さで他界。「亡くなられた時も非常にショックだった」と振り返る。
「亡くなる4日前に愛媛に帰らせてもらって、お見舞いすることができた。監督とも話をさせてもらいました。僕の現状があるのは上甲監督のおかげですし、上甲監督がいなければプロ野球選手にもなれていないと思います。どういう言葉を手向ければ上甲監督への感謝になるのかっていうのは非常に難しいんですけど、必ず帰ればお墓に手を合わせに行きます。(今回も)すべてを、(愛媛に)帰った時にシーズン終了と共に報告しにいきたいと思っています」
今季は「1打席でも可能性がある限り立てればな、と思っています」という岩村。シーズン終了後にスパイクを脱ぐその時まで恩師の教えを守り、脱いだ後も後進に受け継いでいく。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato