名将勇退で報徳学園が新たな船出、新体制の初陣で響き渡った怒号

永田前監督からかけられた言葉、大角監督が考える“報徳野球”

 永田前監督からは「好きなようにやればいい」と言われていた。前監督は普段の練習ではちょくちょく顔を出すことはあるが、練習には一切関与しない。助言を受けることもないが、だからと言って練習スタイルを大きく変えたところもない。報徳学園は部活も含めた完全下校時間が夜8時半と決まっているため、練習時間を長くすることは出来ないが「(バットを)振る時間は前より長くなったと思います」と指揮官。この日の試合では2番だった永山裕真を1番に、不動の1番の小園を3番に置くなど打順を変え、“テコ入れ”もうまく機能した。

 かねてから課題だった打撃力アップに重きを置きつつ、「最後の最後の守備のカバーも含めて、勝ちにこだわるプレーを貫かないと」と守備などの細かいプレーにも徹底的にこだわる。それが伝統校のプライドでもあり、大角監督の“報徳野球”でもある。

 試合後は選手同士できっちりミーティングを行い、課題を話し合った。「このままでは夏に勝てるチームではないですね。夏は厳しいだけでなく負けられない試合ばかり。夏は(エースの)西垣だけでは勝てないので、他の投手も経験させながら投手層を厚くしていけたら」と指揮官は前を向く。

 この日は永田前監督もスタンドで教え子たちの勇姿を見つめた。「みんな、自信を持って戦っていましたね。(センバツでの経験が)大きかったんでしょう」と、大角監督の初陣の勝利に賛辞を送りつつ「このまま春を勝ち抜いて(近畿大会で)大阪のチームと試合をして欲しい(開催地の大阪から3校が出場するため)。強いチームと試合をして、何かを掴んでくれたら」とエールを送った。新体制の古豪が、センバツの経験を糧にまずは幸先の良いスタートを切った。伝統にさらなる伝統を重ね、夏の頂へ進んでいく。

【了】

沢井史●文 text by Fumi Sawai

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