元DeNAグリエルが日本語る 激動のメジャー移籍とNPBで得た「大きな財産」
人気球団、高額条件のオファーも「アストロズを選んで本当によかった」
「人気球団からのオファーやもっと高額なオファーもあったけど、アストロズを選んで本当によかった。このチームの持つ雰囲気や、選手が互いを高め合おうという意識に、いい刺激を受けながら野球をプレーできているんだ。
もちろん、メジャーでプレーすることは簡単なことじゃない。試合数も遠征も多い中で、コンディショニング管理をすることは難しいし、160キロに達しようかという剛速球に慣れるのにも時間が掛かる。だけど、そういったチャレンジに取り組めることも含めて幸せだと思うんだ」
メジャー契約を結べたおかげで、両親を亡命させ、アメリカに呼び寄せる高額資金も賄えた。キューバからの移民が多いマイアミに、家族みんなで揃って暮らすという夢のような幸せも実現した。唯一の悩みは、メジャーでは大嫌いな飛行機での移動が日常茶飯事なこと。搭乗前に睡眠導入剤を飲んで熟睡し、恐怖をやり過ごすことに決めているが、手に入れた幸せの代償としては微々たるものに過ぎない。
キューバ代表として、2004年アテネ五輪では金メダル、2008年北京五輪では銀メダルの成績を獲得。2006年第1回WBCでは準優勝を飾るなど、数々の大舞台を経験してきた。メジャーの頂点を決めるワールドシリーズがどんな舞台なのか、早く経験したい一心で、三塁から一塁へのコンバートも喜んで受けた。
「優勝を狙えるチーム。数年先までトップレベルで戦えるチームだから、楽しみしかないね」
目標としていた舞台で野球ができる喜びに満面の笑みを浮かべながら、今日もまた、ハッスルプレーで勝利に貢献する。
【了】
佐藤直子●文 text by Naoko Sato