「バットが重く感じてた」― ホークス甲斐、圧巻の2打席連発生んだ黒バット
衝撃の2発生んだ黒バット「晃さんのバットよりも細くて、少し軽い」
広島との交流戦の時に、同じ大分県出身の今宮からもらっていたバット。「晃さんのバットよりも細くて、少し軽いと思います」。いつもより長めに持ってのスイングが、驚愕の2打席連発を呼んだ。
6回1死での第3打席でも、2打席目と同じような打球で中堅フェンス直撃の三塁打を放ち、明石の犠飛で6点目のホームを踏んだ。3打数3安打2本塁打4打点3得点。それでも、この日の試合後、ヒーローとなった甲斐に喜ぶ様子は一切なかった。
バットでは大暴れした一方で、先発の松本裕ら投手陣は6回まで5点を失った。3安打目を放った直後の7回の守備で、高谷への交代を告げられた。この交代を工藤公康監督は「1点を守りにいった」と説明。奪ったリードを守るために、より経験豊富な高谷を送り込んだのだ。
「点を取られたのは僕の責任。キャッチャーとしてはまだまだ。代えられたというのはそういうこと。チームが勝ったのは良かったですし、高谷さんの力も借りて、先輩には感謝しています。これを受け入れて、少しでも信用してもらえるようになりたい」と最後まで笑顔のなかった甲斐。華々しい活躍の裏には、喜びをも吹き飛ばす悔しさを感じていた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)