「最後が和田でよかった」「嬉しかった」…井口と和田を繋いだ不思議な力
今季限りで引退の井口にとって最後の福岡、左肘手術から驚異の回復を見せた和田が先発
井口と和田が紡いだ1日の物語。そこには、不思議な力を感じざるを得なかった。今季限りで現役を引退するロッテ井口資仁内野手と、ダイエー時代に井口とチームメートだったソフトバンクの和田毅投手。27日のソフトバンク対ロッテ戦(ヤフオクD)は、井口にとって8年間を過ごした福岡での最後の試合。球界を牽引してきた2人の3度の対戦を、ロッテファン、ソフトバンクファンが、普段応援しているチームの垣根を越えて見つめていた。
2人の縁が引き寄せたかのように実現した、この日の対戦だった。井口はこのソフトバンク3連戦を終えると、28日に登録を抹消される。若手の起用を望む井口自身が伊東勤監督に申し出てのことだった。9月24日の日本ハム戦(ZOZOマリン)が引退試合。27日は、ダイエー時代にプロとしてのスタートを切った福岡で戦う最後の試合だった。
和田は5月下旬に左肘遊離軟骨除去の手術を受けた。術後当初は全治3か月と診断されており、今季中の復帰も微妙な状況だった。だが、驚異的な回復を見せ、わずか2か月半で2軍戦で実戦復帰。ファームでの登板わずか2試合で1軍昇格が決定。この日の先発が決まると、それは偶然にも井口の福岡ラストゲームと重なった。
「僕自身もこの日になると思わず、まさか井口さんとこういう風に最後に対戦できるとは思わなかったので、すごく嬉しかった。チームとしては3連敗したくないという中で回ってきたんですけど、それよりも今日は井口さんとの対戦というのが自分の中で大きなウエートを占めていた」
和田はこの日の登板へ向かう心境を試合後に明かした。自身の復帰登板。チームが連敗で迎えた一戦。それよりも、井口との最後の試合という思いが強かった。
粋な計らいもあった。ロッテの伊東勤監督は、井口を「4番・DH」でスタメン起用した。スターティングラインナップが場内で発表される。4番、指名打者、井口ーー。沸き上がる歓声。ロッテファン、ソフトバンクファンが一斉に沸き、拍手が巻き起きた。
こうして、井口の福岡でのラストゲームは幕を開けた。