「エース格」の証明、「一流」の条件 “久々”の2桁勝利に挑むパの投手たち
岸は3年ぶり、十亀は2年ぶりの2桁勝利へ
続いては楽天の岸。2006年のドラフトで埼玉西武に入団すると、ルーキーイヤーから11勝を挙げ、新人王は逃すも鮮烈なデビューを果たした。翌2008年には、日本シリーズでMVPを獲得。2014年にはノーヒットノーランを記録し、自身初のタイトルとなる最高勝率投手賞に輝くなど、埼玉西武先発陣の柱として長くチームを支えた。
故郷・仙台へと舞い戻った今季は、シーズンを通して安定した投球を披露。序盤戦で首位を走ったチームの快進撃を支えた。特筆すべきなのはその投球内容だ。今季登板した試合ではいずれも6回以上を投げ、21試合中17試合でクオリティ・スタートを記録、投手陣の柱としてリーグ屈指の安定感を誇っている。積み上げた勝ち星はここまで8勝。魂のこもった力投を続けながらここ7試合は勝ち星から遠ざかってしまっているが、岸の3年ぶりの2桁勝利をチーム全体でも後押ししたいところだ。
最後に紹介するのは、埼玉西武・十亀だ。2011年ドラフト1位で入団した右腕は、ルーキーイヤーから中継ぎとして活躍。6勝を挙げる活躍を見せる。翌年は先発投手として1年間ローテーションを守り、チーム3位の164回1/3を投げた。初めての2桁勝利は2015年。チームで唯一規定投球回到達を果たすと、自己最多の11勝を挙げた。
今季、開幕はファームで迎えたものの、4月末に1軍の舞台に戻ってくる。初登板となった4月27日のオリックス戦で1勝を挙げると、6月は3勝0敗と抜群の安定感を見せ、月間MVPを獲得した。「炎獅子」パワーで一気に調子を上げているチームの躍進とともに、2年ぶりの2桁勝利をつかむことはできるのか。節目まではあと3勝。上位争いにも不可欠な右腕の投球に期待がかかる。
先発投手の栄誉とも言える「2桁勝利」。今季はすでに、オリックスの金子千尋投手が3年ぶりに大台に到達した。「一流」の登竜門でもあるこの栄誉を、再びつかもうとする彼らの活躍に期待したい。