森、坂田、呉…悔しさを糧に、シーズン終盤に気を吐く西武“左の若獅子”
坂田は名実ともに「アニキ」に
今季は開幕から怪我で出遅れたが、ファームでは72試合に出場し、打率.339と圧巻の成績を残す。長打率こそ昨季には及ばないものの、地道に安打を重ね、1軍の舞台に戻るために結果を残し続ける坂田は、ファームの若手選手をけん引する存在として、名実ともに「アニキ」となっていった。
そして、8月23日に念願の1軍昇格を果たすと、以降は主に代打として7試合に出場して打率.500。9月3日のオリックス戦では、5点を追う7回表、1号3ランを放って1点差に迫るなど、持ち前の勝負強さを発揮した。これまではやや点差の開いたビハインドの場面での代打出場が多かったが、そこで確実に結果を残していけばチャンスは巡ってくるだろう。痺れるような場面で「アニキ」の名前が呼ばれる日を、心待ちにしたい。
3人目は、ドラフト7位で昨季から埼玉西武の一員となった呉だ。昨季終盤から遊撃手としてレギュラーに定着し、43試合に出場。長きに渡るチームの「正遊撃手不在問題」に終止符を打ったかのように見えたが、今季は源田の加入によって状況が一変。出場機会を求めた呉は、ファームで外野手、三塁手など、様々なポジションに挑戦した。課題の打撃はファームで8月月間打率.305を記録し、改善の糸口が見え始めている。
そして8月25日に1軍昇格を果たすと、主砲・中村の不在の間は、主に三塁手としてスタメン出場した。打撃でも9月9日時点で31打席に立ちながら、三振はわずかに3つ。昨年に引き続き、2年目の選手とは思えない冷静な選球眼を見せている。打席に向かう際に、ファンによって行われる「ウーイング」でもお馴染み。貴重なユーティリティープレイヤーとして腕を磨き、貪欲に出場機会を求めたい。
今季、球団記録に並ぶ13連勝を決め、大きな話題を呼んだ埼玉西武だが、この3選手は共通してこの連勝の輪に加わることができなかった。それだけに、チームの1勝に貢献したいという気持ちは強い。森も「数字よりも、チームの勝利に貢献したい」と力強く語る。1勝の重みが今まで以上に重くのしかかってくるシーズン終盤戦。まだまだ暴れ足りない獅子達の奮起に、期待しないわけにはいかない。