ハム大谷、理想と現実の間 163キロ&5回零封も「ピッチングにはほど遠い」
「1個1個のボールで抑えた」「ピッチングというにはほど遠い」
数字は快投に見えても、大谷自身は満足していない。前回登板で課題として浮かび上がった打者との駆け引きについて手応えを問われると、首をひねった。
「そんなにないですね。1個1個のボールで抑えていったという感じだけなので。ピッチングというにはほど遠いかなという内容。いい時に比べたらまだまだ。そこまで高いパフォーマンスを出せたとは思っていない」と振り返った。
試合前に栗山監督が「キャンプの中盤くらいかな」と話していたように、本来の調子を取り戻すには、もう少し時間がかかりそうだ。
理想を追求する一方で、大谷は現実と折り合いをつけることも忘れなかった。「前回よりも投げ心地は良かったですし、結果的に抑えられたのはそれなりの要因があるんじゃないかと思います。妥協した段階では納得できる。次回どこで上げられるか考えながらやりたい」と前を向いた。
残り少ないシーズンの中でどこまでのパフォーマンスを発揮できるのか。米球界の注目が高まる中で挑戦を続ける大谷の目線は、しっかりファンに向けられていた。「1試合1試合、大事にしながら、楽しみに球場に来てくれる人たちに、勝ちを1個でも多く見せられるように。そういうモチベーションで頑張りたい」と残り試合に全力を尽くす。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)