怪我に泣いた右腕・斉藤和巳氏が松坂大輔に愛あるエール「同情はしません」
「投げるだけで人を動かせるって、考えようによっては面白いなって」
2014年オフにソフトバンクと3年12億円の契約を結んだ松坂は、2シーズンでの1軍登板は1試合にとどまり、今季はここまでゼロ。契約が高すぎたという批判の声が飛ぶことも多い。
「叩かれますよ。あれだけの金をもらえば。でも、あの契約を否定する権利は誰にもないです。別にルールを破っているわけではない。あれがホークスから見た松坂大輔の評価なんです。でも、批判されても当然。結果としては出していませんから。
メジャーに行って、30代に入ってからは満足する野球人生は過ごしていないと思うんですよ。今までずっと続けてきた大好きな野球で、多分、今一番悩んでいる時期だと思います。打者を抑えることではなく、投げること自体で悩んでいるんじゃないかと。でも、大好きな野球について根本的なことで悩めるのは、いい時間やと思うんです。投げることがホンマに好きだから。
ここからが楽しみですよね。これを乗り越えたら、どんなピッチングをするんやろ。どういう野球人生を送るんやろ。それに対して、周りの反応はどう変わっていくんやろ。だから、僕は大輔に批判の声を覆してほしいんですよ。上っ面のことを見て批判する人は、すぐに手のひらを返しますから。僕はそれが見たい(笑)。
僕も若い時に同じようなことを少し経験しました。厳しい世界にいるけど、ある意味それは醍醐味。人が手のひらを返すっていうことは、自分がその人を動かしたっていうこと。なかなか人を動かすって難しいじゃないですか。投げるだけで人を動かせるって、考えようによっては面白いなって思いますね」
ストレートな物言いの中には、後輩への愛がぎっしり詰まっている。人生は二者択一。松坂が復帰への道を選択し続けるうちは、心配はしながらも同情はせず、サポートを続けていく。
(佐藤直子 / Naoko Sato)