主力に負傷者続出も2年ぶり18度目V ソフトバンク栄冠への軌跡
8月15日に首位に返り咲くと独走態勢に
8月27日には復帰後初登板の和田がさすがの投球を披露し、プロ通算1500奪三振を達成。節目の1500三振は、かつてのチームメイトであり、今季限りでの引退を表明している千葉ロッテの井口選手から奪った。31日にはサファテ投手がリーグ新記録のシーズン44セーブをマーク。メモリアルな試合が続き、チームの勢いを後押しする。
Aクラスの楽天と埼玉西武との直接対決を確実にものにしたことで、8月15日以降一度も首位の座を譲らず、9月1日、ついに福岡ソフトバンクの優勝マジック「16」が点灯。その後も気を緩めることなく、2位以下を大きく突き放して独走を続ける。5日のオリックス戦ではサファテ投手が今季47セーブをマークしてシーズンセーブ数の日本新記録を樹立し、10日の千葉ロッテ戦では前人未到の50セーブにも到達した。
8月31日から9月10日かけては、シーズン終盤の疲れが溜まる時期にも関わらず、今季最長・工藤監督就任後初の9連勝を決め、着実にマジックを減らしていく。そして、ついにマジック「1」で迎えた9月16日の埼玉西武戦。柳田の一発が飛び出すと、勝ち頭の東浜が6回1失点と先発の仕事を果たし、モイネロ投手、岩嵜投手、そしてサファテ投手という「勝利の方程式」につなぐなど、盤石の試合運びで勝利。2015年以来18回目、さらに史上最速となるパ・リーグ優勝を果たした。
今季序盤から主力選手の相次ぐ故障離脱に見舞われ、苦しい戦いを強いられた福岡ソフトバンク。しかし、その度に一軍経験の浅い若い選手、育成出身の選手などが突き上げ、主力の穴を埋める奮闘を見せた。ファームで蓄えた力を発揮し、今季頭角を現してきた選手は、野手・投手ともに枚挙に暇がないほどだ。
前回のリーグ優勝は2015年だった。さほど昔のことではないが、今回のリーグ制覇の立役者の中で、あの2年前の栄光に自分は貢献することができなかった、という選手も少なくないことだろう。あるいは、2年前の歓喜を知っているからこそ、昨年大逆転を許し、王座を逃した悔しさはひとしおだった、という選手も少なくないはずだ。
しかし、彼らはいずれも今日この日、それぞれの雪辱を晴らし、胸を張ってチャンピオンを名乗る権利を手にした。まだまだこれから厳しい戦いは続いていくが、ひとまずはこれまでの険しい道のりを反すうしながら、あらゆる苦難を越えた今季のパ・リーグ王者に、心からの敬意を表したい。