井口資仁を支えた出会い、そして今後…「いずれメジャーの監督もやりたい」
理想の監督像はギーエン監督「コミュニケーション能力がすごい」
将来的な監督就任への思いは包み隠さないが、果たしてどんな監督を目指すのだろう。日米合わせて5球団でプレーし、数々の監督の下でプレーしてきた中で、今、一番理想だと思うのは、ホワイトソックス時代の恩師、オジー・ギーエン監督だという。
「何がすごいって、コミュニケーション能力がすごい。やっぱり、選手をうまく使うのってコミュニケーションじゃないですか。そこが彼は長けている。アホみたいなことも言うけど(笑)、ちゃんと選手を褒めるし、ダメな時は怒ってくれる。選手のロッカーまで来て、選手と同じ目線でいろいろなことを見て、野球だけじゃなくて家族だったりプライベートなことまで会話してくれる。
そういうのは、今の時代、日本には一番必要なことかなって思いますね。『俺が監督だ』って態度で接するのは、ちょっと違うと思う。上からガンガン言うわけでもないし、選手を信じて任せてくれたり。そういうところは理想ですよね」
グラウンドで戦う選手の立場で考えられるか。それは監督だけではなく「フロントも同じだと思う」と話す。
「ダイエーの時、当時の中内正オーナーがいつも言っていたことがある。チームには3本のラインがあって、絶対に交わることはないけど、少しでも近くならないと優勝できないんだって。つまり、フロントやオーナー、監督やコーチ、選手、この3者が一体になるって意味だと思うんですよ。いろいろな球団でプレーしてみて、やっぱりあの言葉はすごいなって。中内オーナーはすごく選手に声を掛けてくれた。そういう球団作りをしていかなくちゃいけないんじゃないか。そう思うとGMもやってみたいな、とか(笑)」
やりたいこと、できるかもしれないことを挙げ始めたら、とてもじゃないが、1人の人間の一生では実現しきれない数に及びそうだ。「本音は1年休んで、ゴルフとかしたいんだけど」と冗談めかすが、もし来年ユニホームを着ない選択肢を取ったとしても、近い将来、指導者としての一歩を踏み出すことは間違いない。それが、いつ、どこでなのか。それだけは、井口本人もまだ知らないようだ。
(佐藤直子 / Naoko Sato)