あの甲子園から7年―「報徳1年の田村くん」は西武で花を咲かせられるか
身につけた、いい意味での「適当さ」
「スーパー1年生」として甲子園を沸かせた日からおよそ6年。一時はプロ入りも危ぶまれながら、苦難を乗り越え、一気にドラフト指名候補に返り咲いた田村。同年のドラフトで埼玉西武から6位指名を受けると、満を持してプロの世界へと飛び込んだ。
ルーキーイヤーの今季は、1軍(A班)キャンプメンバー入りを果たす。オープン戦で崩れたことで開幕1軍とはいかなかったものの、ファームで結果を残すと、5月7日に1軍昇格。同9日のプロ初登板から3試合連続で無失点リリーフを披露する。最終的に12試合に登板し、0勝0敗、防御率6.91という成績で、1年目のシーズンを終えた。
田村は、頭脳明晰で生真面目。練習熱心でチームに献身的であり、打者に向かっていく強気な投球が持ち味だ。「スーパー1年生」と現実の自分の差に苦しんでいた時期、美点であるべきそんな性質が悩みを深めてしまうこともあったが、現在は良い意味での「適当さ」を身に付けて、プロ向きの性格と評される。
西口文也投手コーチからチェンジアップとスライダーを、故・森慎二コーチからフォークを伝授された。まだ1年目、まだ23歳だが、その才能ゆえに勝負の世界の厳しさと恐ろしさを知っている。来季は果たして、どのような形でその勇姿を見せてくれるだろうか。