電話対応で培った“忍耐力” オリドラ1山岡を成長させた「社会人の3年間」
電話対応で培った“忍耐力”「謝ってばかりいました」
大事な一戦にコンディションを合わせることだけでなく、社内での仕事の経験も、精神面の成長に役立ったという。山岡が行っていたのは、ガスの点検日の日程変更を受け付ける電話対応だ。
「『この日に点検させてください』というハガキを入れるのですが、都合が合わない人が、変更の電話をかけてくるんです。こっちから頼んでいるものですし、向こうはお客様なので、謝ってばかりいました。我慢はそこで覚えましたね。プロでは、プレーでファンの人に喜んでもらえる時もあるけど、怒られる時も絶対ある。そこは我慢して、返す時はプレーで返さなくてはいけないと思っています」
広島・瀬戸内高では、3年時に夏の甲子園に出場。大会後に行われた第26回AAA世界野球選手権大会では日本代表としても活躍したが、プロ志望届は出さずに社会人に進んだ。その選択に、後悔はない。
「プロで、野球に集中できる環境の中で3年間やった方が技術的には良くなったかもしれない。でも、社会人の3年間を経験していなかったら、人とのコミュニケーションの取り方や信頼関係の築き方など、人間的な部分は今とは全く違うと思います」
1球に懸ける思い、そして、仕事をする中で学んだ人との接し方。「社会人に行って良かったことしかない」と胸を張る右腕は、自身の経験を糧に、プロの世界で更なる高みを目指す。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)